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2026.02.09
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レポート:長野の小学生と一緒に見つけた「地球の未来のまもり方」【気候教育グループ】
CRPジャパンのAction Groups「気候教育グループ」メンバーが活動の様子をレポート!ぜひご覧ください。

今の世の中を見渡すと、少し不安になるニュースばかりが多いかもしれません。「気候変動」なんて言われると、どこか小難しくて、自分一人じゃどうにもできないことのように思えてしまいますよね。
普段、ITの世界で仕事をしている私も、実は同じでした。でも、理屈だけではたどり着けない「何か」がある気がして、Climate Reality Project(以下、CRP)ジャパンの気候教育アクション・グループの仲間たちと一緒に、2025年の寒い冬晴れの日、長野県のとある小学校へ気候変動に関する“スペシャル出張授業”に向かいました。
この企画に賛同して集まったのは、CRPリーダーらしい多様な大人たちです。歌を通して気候変動に関するメッセージを届けるサステナ・アーティスト、地元地域で精力的に活動している環境教育ボランティア、ITのデータセンターで仕事する絵本作家、そして出張先の学校に通う娘さんを持つ環境活動家!かくいう私自身も企業向けDX・GXコンサル。ただ理屈を語るだけでなく音楽や物語といったメディアを通して子どもたちの感性にメッセージを届けられる才能が集まったチームが編成されました。
出張授業の前夜に東京から前日入りした私は、長野の冷たーい空気の中、30分ほど外を歩いてみました。見上げた夜空は、こぼれ落ちそうなほどの星でいっぱい。その美しさに息を呑んだとき、「ああ、この景色をずっと残したいな」と、心の底から思いました。

夜空には視界いっぱいに広がる星々が
スペシャル出張授業は素敵な音楽から
そして本番、翌朝の教室。最初は少しだけ、緊張した空気が流れていました。「知らない大人たちがやってきたぞ」という、子どもたちのピリリとした視線。授業前の子どもたちの会話とバタバタと元気に走り回る足音。
それらを一瞬でふわりと溶かしてくれたのが、サステナ・アーティストである adatchさんの歌声でした。シンセの音色と優しい歌詞が教室中に響き渡ると、子どもたちの表情がみるみる柔らかくなっていくのがわかります。音楽って、理屈を超えて心を通わせてくれる魔法のようです。

音楽とともに教室の空気がゆるやかに
続いて歌詞に込めたメッセージを伝えるadatchの「『こんなの、あり?』〜サステナエンタメで世界を救う〜」と題したプレゼンテーションでは、さっき歌った歌詞から何が起こっているのか、どんなことをメッセージしたかったのかを語りました。
「サステナって、世界を知ること。こんなに面白いものは他にない!」という力強いadatchのメッセージをすべての子どもたちがしっかりと受けとめてくれていました。
難しい気候変動をストーリーで考える
やわらかくも空気が温まったところで、次は、絵本作家の池田さんによるオリジナルストーリー『みどりのしまのルウニィ』の読み聞かせです。自然豊かな南国の島で育ったルウニィが気候変動の影響で生活を奪われ、ドラゴンと共に問題に立ち向かうお話です。

ルウニィの物語にどんどん引き込まれていく子どもたち
みんな、食い入るようにスクリーンに映った絵本のページを見つめていました。物語の中のルウニィと一緒に、「自分たちの島で、いったい、何が起きているんだろう?」「私たちに何ができるかな?」と一生懸命考えている。その真剣な眼差しに、私たち大人の方が、ぴんと背筋が伸びる思いでした。
参加型ワークショップでは体感することを大切に
この出張授業のメイン・コンテンツは、環境教育ボランティアの川崎さんが作成し、池田さんと二人で行う参加型ワークショップでした。二人から、気候変動の仕組みのことや、世界各地での影響、また学校の近くの駅で起きた水没被害の話をしたり、クイズをしたりして、小学生のみんなにもわかりやすく、気候変動について授業をしていただきました。
そして、スペシャル教室メインのワークショップで一番の盛り上がりを見せたのが、こちらの授業写真にも写っている大人の腰の高さほどもある「大きな赤い風船」です。

ひとり1日あたりに大きなこの赤い風船7,000個もCO2が
ところで、みなさんは、日本で暮らす私たちが一年間に出す二酸化炭素(CO2)の量をご存知でしょうか。答えは約7.6トン。と数字を言われてもピンときませんよねー。子どもたちにとっても、そんな大きな単位の数字だけでは伝わりません。それを、可視化するために用意したのが、この赤い風船です。そして、その約7.6トンというのは、なんと、この風船7,000個分にもなるんです!
子どもたちが手を広げても端から端まで抱えるのが大変なほどに膨らませた風船を見て、子どもたちは「えーっ!そんなに!?」と大騒ぎ。目に見えないスケールのものを目の前の赤い風船を通して感じることで、気候変動の問題の大きさがぐっとイメージしやすくなった瞬間でした。

ワークショップに夢中になる子どもたち
川崎さんと池田さんが話す、この世界のあちらこちらで起こっている気候変動の影響についてのお話から、身近な長野の地元で起こった集中豪雨の影響など、子どもたちは、驚きつつもしっかり真剣に話を聞き、考えている様子でした。また自身の生活の中で、どれくらいのCO2を排出しているのか。どんなことが自分たちにもできるだろう、と考える表情になっていきます。
正解はないから、みんなで考えることを大切に

カードを比べながら、どれがいい?これかな?と活発な話し合い
最後には「みんなの生活を振り返ってみよう」との呼びかけで、生活のあらゆる場面でエネルギーがどれくらい必要となり、CO2排出するのかをカードゲームを用いて考えました。カードに書かれた具体的なアクション「タクシーは使わず自転車(シェアサイクル等)で移動する」だと、どれくらいのCO2削減になる?とか「赤身(牛肉や豚肉)をやめて白身(鶏肉)の肉を食べる」だとどれくらい?と削減量の多いものから選ぶゲームです。
たくさんのカードに書かれている生活アクションについて、お友達と話し合い、悩みながらも考えを伝え合ってチームとしての考えをまとめていく子どもたちの表情は、とても真剣で活き活きとしていました。
企画運営のチャレンジ
正直に言うと、私たち運営メンバーも初めてのことばかりで、当日はドタバタ。伝えきれなかったこともたくさんあって、「私たちからのメッセージは伝わったんだろうか」「もっとうまくできたかも」という反省もあります。
けれども、ワークショップ中や事後アンケートで見せてくれた子どもたち自身が考えた気候変動を乗り切るためのアイデアは、想像をはるかに超えていました。大人が決めた枠に縛られない、自由で、瑞々しい希望に溢れた言葉たち。「普段の食事で肉をちょっと控えてみる」「電気をこまめに消す」……自分たちのスケールで今できることを一生懸命探そうとする姿に、私も運営メンバーのみんなも大きな可能性を感じました。
帰り際に、校舎から見送りに来てくれたみんなが、私たちの車の姿が見えなくなるまで「また、きてねー!」と元気いっぱいに手を振ってくれました。

見送りに出てくれた子どもたちと学校で飼っている鶏さん
その笑顔を見て、私たちは確信しました。気候変動を止めるのは、怖がることでも、誰かを責めることでもない。この子たちがくれたような「優しいエネルギー」を繋いでいくことなんだ、と。長野の夜空に輝いていた星たちのように、子どもたちの心に灯った小さな火を、私たちはこれからも大切に守っていきたい、そしてさらに大きく育てていきたいと考えています。
みなさんも、自分なりの「心地よいアクション」から始めてみませんか?「うちの学校やイベントにも来てほしい」など、スペシャル出張授業をご希望される方がいらっしゃいましたらば、ぜひCRPジャパンまでご連絡ください。
また、こうしたスペシャル授業の型をより良いものにブラッシュアップしたり、開催できる人を増やしていくなどの、気候教育グループの活動に興味を持っていただける方も、募集しています!私たち自身、環境教育の専門家でなくても、この出張授業でたくさんの子どもたちの笑顔に出会うことができました。何かやってみたいな、こういうことならできるかななど、ちょっとでも興味が湧いてきたら、お気軽にご連絡ください。
執筆:CRPジャパン 気候教育グループ 谷口正樹
